気になる症例集
みんなの健康
痛みの除去に足底板が効果的
七十一歳の女性。半年前に右足のかかとに痛みを覚え、レントゲンをとったところ「踵骨棘(しょうこつきょく)」と診断されました。現在は足底板を使って痛みはいくぶん薄らいでいます。老後の健康にはウオーキングが一番と思っているのですが、この症状はいつまで続くものなのでしょうか。(兵庫・G)


触ってもわからないのですが、レントゲン写真を見ると、かかとの骨からとがった突起が出ているのがわかります。
足の裏には、つま先とかかとの間に足底腱膜という筋かあり、その付け根の部分にできます。


年を取ってこの筋肉が衰えてくると、膜の方に負担がかかり、アーチを保とうと突っ張る。
その結果、かかとの骨にストレスが集中し、とげのできる原因となります。
痛みは膜が引っ張られるために起こります。とげは膜に引っ張られる結果であって、それ自身が痛みを引き起こしているわけではありません。


四十代前半だと、とげができていなくとも、膜に突っ張りがあり、痛みを感じることがあります。
逆に、高齢になってからとげができるほど膜が引っ張られても、痛みが全然ないこともあります。
足に負担のかかる立ち仕事をしている人、肥満の人にできやすいようです。


靴をはきっぱなしの生活が定着してきたせいか、二十年ほど前から顕著に増えてきました。
靴をはくとつま先が長時間固定されるので、筋力が鍛えられないためと考えられます。
最近若い女性がよくはいている底の厚い靴は、つま先が完全に固定され、歩くときにけり出す動きができなくなるので、あまり感心できませんね。
けり出しやつま先立ちの機会が多ければ、それだけ筋力が鍛えられ、発病を防ぐことができるのです。


足底板は、痛みのある部分を圧迫しないようへこませた靴の中敷きのようなものです。一人ひとりの足に合わせて作ります。
屋内用として、足袋やサンダルのような形で足に取り付けて使うタイプもあります。二週間ほどつけっ放しにすれば痛みは取れます。
ただ、痛みがなくなったときにすぐ外すと再発する恐れがあるので、さらに二ヵ月ほどはつけ続けなければなりません。


途中で痛くなっても、足底板を二、三日使えぱ治ります。
痛みの激しい人は炎症を抑えを抑える薬を注射してもらうことを考えてもいいでしょう。
それでもだめなら、とげの部分と足底腱膜の一部を切る手術をします。


踵骨棘は最初に軸足にできる場合が多く、四割くらいの人は後からもう片方の足にも症状が現れます。
予防には、つま先立ちや足首を内側に曲げる運動が効果的です。