先生の医療記事新聞集
医療情報開示第三者機関で
朝日新聞 H14.3.28
患者や患者の家族を中心に、病院のカルテを含めた医療情報開示を求める動きが進んできている。しかし、慎重にすべき点もあると思われる。
一つは悪性腫ようを伴い、予後に必ず死を迎える特定の病気の場合、もう一つは妄想や幻覚を伴う精神病の場合だ。
患者さんがカルテを欲しいと思う根底には、絶対的に情報が不足していると感じている現実がある。
カルテの内容を知らしめ、何が書かれていようとも引き受ける覚悟を持つ患者教育も必要だろう。
そこで提案だが、カルテやレセプトを含め、その解説をするための第三者機関を病院内につくり、システム化することによって、医学知識のない患者さんでも気軽にコンサルティングを受けられる環境づくりが急務と思われる。
病院と個人が情報を分かち合うことによって信頼関係がつくられる。
情報公開、情報開示というのは、この国をよくしていくキーワードだ。
政治の世界、行政の世界を見ても、閉ざされたところに倫理は育だない。
情報を開示していくことによって、むしろ病院と患者との余分な紛争を減らす突破口になるものと思う。