会津文芸 会津文芸クラブ 第9号 2025
特集「川柳でみる医療」
「第七回会津文芸のつどい」講演より 遠藤剛
夜は寝る前、ただしお酒を飲む人は、お酒を飲む前に測ってください。
なぜかというと、お酒を飲むと顔が赤くなりますよね。あれは血管が拡張するんです。お酒にはそういう作用があります。だから、血管が拡張するから血圧が一時的に下がります。
ですから、お酒を飲んで測るとみんな低いです。だから、お酒を飲んで一、二時間して、寝る前、水を一杯ぐらい飲んで、ゆったりした気分で測るのはセーフです。お酒を飲む人は寝る前か、お酒を飲む前です。あと、お風呂上がりも駄目ですよ。温かいですから、血管が拡張しますから下がります。
ですから、常に一定した時刻に測ってください。そうじゃなくて、朝の七時に測ったり、九時に測ったりじゃなくて、夜も八時とか十時じゃなくて、いつも一定した時間に測ってください。 それで、一回、二回じゃなくて、やっぱり一週間ぐらい付けて、その平均値を取るというのが正しい測り方です。
ですから、大体クリニックに来るとみんな緊張しますので、下手すると五十も上がる方もいます。百二、三十の人が百八十になります。それは高血圧ではないです。自宅で測るのが、いわゆる家庭血圧というのを我々は重視していますので、クリニック血圧じゃなくて、家庭血圧が大切です。だから血圧ノートを付けることが大切です。
■説明が大舟にする手術台
これは僕も手術をやりますので、説明がすごく安心して大丈夫だよ、神様じゃないけれども、頑張ろうね、一緒に頑張ろうねと言えばいいんですけれども、今いろんな若い先生の胃がんの説明を聞いていたら、こういうこともありますよ、結んだところから漏れて死ぬこともありますよとか、途中で呼吸が止まることがありますよと。聞いているだけで嫌になってしまう。もう僕やりませんと言います。実際やりませんと言う人がいました。
ですから、そこら辺は臨機応変、押し引きですよね。あとはその患者さんの性格とか、人間性を見ながらやっぱりやるんですよ。医学って非常に単純なことなんですけれども、そこはすごく難しいところです。つまり、誰一人同じ人はいない。環境も違う、親も違う、友達も違う、教育も違うんです。
■救急車在宅看取り夢を消す
在宅で畳の上で死にたい、そういう望みがありますよね。それは本当に理想です。でも、あんなテレビみたいにスーッといきません。やっぱり「目の前で看取る」と家族が言っても、ちょっと息が荒くなったりすると、もう家族は慌てて電話で救急車を呼んじゃうんですよね。医者が勝手に、看取りがいいよ、看取りがいいよという先生もいますけれども、スーッといくのが最高です。でも、そんな人はそんなにはいませんよ、映画みたいに。
ですから、夢を消すというよりも、それもその人の運命かもしれませんけれども、僕はどうしても駄目だったら救急車を呼んで行ってくださいよ、とにかく連絡くださいねと言いますけれども、僕も在宅を四十人ぐらいやっていた時代があるので、よくこれは分かります。
今度は薬剤師の立場です。
■副作用ばかりで作用聞き漏らす
この薬飲むと顔が黄色くなることがあるよと、筋肉に力が入らなくなることがあるよと、もうそればかり思って、大事な作用、九割の大事な作用を聞き逃して、一割の副作用をみんなが頭の中で、こんなに大きくなる。だから、日本人というのは薬好きなんですけれども、そういうのはやっぱり気になるんですよね、最悪のことで。だから九十九%ないのに、一%が、その人にとっては九十九%になるわけです。
初対面の人には僕は注意しますよ。もううちに三十年もかかっている患者さんに話すことはありませんから、息子、孫、ひ孫、やしゃごの事など患者さんにさんざん話をしているので、あとはそんなに話題もなくなってきます。
つまり、このクリニックに何を目的にあなたは来たんですかと、僕はいつも考えるんです。例えば、受付の対応がいいんで、その受付のAさんに挨拶したいとか、それもすばらしい。医者は悪いけれども、看護師さんの注射がうまいとか、もう医者は悪いけれども、うちは給食があるものですから、給食がおいしいとか。僕は逆に職員を褒められることは、自分の子どもを褒められるよりもうれしいです。
■病名をしつこく聞いて医者怒る
これは僕も怒ったことがありますね、若いときに。つまり、まだ医者としてできていないときです。やっぱり自分より知識を持っていますから。そうすると、クエスチョンです。僕も後で、ああ、悪かったなみたいな、看護師さんともようありましたけれども、でも今恐ろしいのは、ネット時代ですから、待合室で全部見ています、自分の病名を。僕がここに来たときは、この病名でなければ駄目だと。僕は逆に分かんないことはネットでプリントアウトしてねといいます。それを見て、「僕も今度分からなかった事を知って、勉強になったよ、本当にありがとうね」と、「医者としてとても勉強になったよ」と僕は言います。
逆に、ネットは全部正しくないので、間違った医療情報が多いですから、「これは僕は間違っていると思うよ。だから、これは信じないほうがいいですよ」と。もちろん僕を信じてくれればの話ですけれども。
ですから、皆さん、医療ネットを見ると分かります。本当に信用できるネットだと。トランプもそうですよね、今回の大統領選でトランプは、あれはフェイクだと。まあ恐ろしい時代だなと。さっき民報社の方が言っていましたけれども、AIも、いろんなことを教え込まないと考えられないと。でも、やっぱり病名は自分で考えるのは大事だと思いますよ。あなた任せ、遠藤先生、何でもやってくださいと、それも私は一部うれしいんですけれども、「いや、もうちょっと医療を一緒に考えようよ」というのが僕の考えで、待合室には漫画本とか、あとはテレビとかは置かずに医療情報を流しています。「せっかくお医者さんに来て待合室にいるんだから、本当に十分、三十分ぐらいは医療の勉強をして帰ってね」と僕は思って、待合室にはそういういろんな医療情報のことを貼ったり、流しています。
■飲み方を噛んで含める薬剤師
患者はそういうことはないです。大体読むんですけれども、みんな間違って噛んで成分が違ったりして、作用が違ってくる。これはいわゆる川柳で言うと、食べ物は噛んで含める。
■納得とともに薬を嚥下する
これもよく聞くのは、この薬はどうしてあなたは飲んでいるのか。どこどこ病院の病名は何なのかと聞くと、七、八割は答えられないんですよ。だから盲目的に飲んでしまっている。それは医者の説明が悪い、薬剤師の説明が悪いだけじゃなくて、やっぱり先ほど言ったその人のレベルとか、その人の生い立ちとか、あと耳が遠いとか、あとなかなか覚えられないとか、そういうのをいっぱい鑑みて総合的に判断したほうがいいよと。
ただ、少なくとも、こういう会場の皆さんは、もしくは薬を飲んでいるのがあれば、この薬は何の薬で、何のために飲んでいるのか。自分の病名は何なんだぐらいは、インテリジェンスの高い方ばっかりなので、心配だったらもう一回請求書を見て、自分の病名をチェックするというのが大事だと。
もし飲まなくていいんじゃないかなと思ったら、やっぱりお医者さんのところに行って、これはもう飲まなくていいですかと相談する。勝手にやめてしまうと患者さんが損をします。医者がやめていいと言って何か起こったら医者の責任です。でも、勝手にやめて何か起こったら、それは勝手にやめたあなたが悪いんですよねということになる。お互いの薬確かめ合い夫婦
これは皆さん、お分かりだと思いますが、これは何か目に浮かぶような川柳です。
■検査値に出ない不調は放っとかれ
つまり肝臓とか腎臓とか貧血とかは分かりますけれども、心とか、そういう鬱病とかはデータで出ません。あと統合失調症とか、いろんな病気がありますけれども、検査値が異常ないから俺は百点だとは思うなよと。もちろん、なぜ胃カメラがあるのかというと、検査値では分からないから胃カメラがある。検査値では分からないから大腸カメラがある。それを冷静に考えれば分かるわけです。血液だけで調べて全部分かる時代も、あと十年、二十年したら来るかもしれません。


