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雑誌インタビュー・執筆情報
SCOPE別冊 1994年12月号

ナポレオンも痔だった

 毎月第3土曜日の午後1時から、会議室で、外科・肛門科の遠藤剛先生の「わかり易い痔の話」という講演会がある。

肛門の生理・解剖から始まり、痔核、痔瘻、裂肛という痔の3大疾患、実際の手術の様子、食事療法、薬物療法など、スライドを使った30分間の患者さん向け講義だ。
ナポレオンや野口英世も痔だったというエピソードも紹介される。

 「肛門は毎日お世話になる所ですが、なかなか自分で見ることができず、どのような構造になっているのかわかりません。
自分の目に見えない部分はどうしても不安ですし、激痛を伴う昔の手術を思い浮かべがちです。
そうした患者さんを啓蒙し、いろいろな不安を払拭して、肛門に対する正しい知識を身につけてもらうのが大きな目的です」

 講義終了後、参加者から活発な質問が飛び出す。
「お酒や辛いものが好きなんてすが、どの程度ならいいんですか」「トラックの運転手で一日中座りっぱなしですが、おしりに負担をかけない方法はないでしょうか」遠藤先生は一つ一つの質問に丁寧に答える。

 「社会保険中央病院大腸肛門病センターの隅越・岩垂両先生のご指導を受け、5年前から紙田外科科長の発案で始めて以来、もう60回を超え、講演会は病院行事として定着しました。
最近では、患者さんだけでなく地域の人、ナース、研修医などの参加もあります。

当初の狙い通り、講義を聞いて手術に踏み切る勇気が出たという患者さんも増えてきました」