雑誌インタビュー・執筆情報
ほんとうの時代 1999年 9月号
日本に漢方薬が伝わってから、すでに千年以上も経っている。しかしながら、この長い歴史のなかで、今日ほど国民のあいだに漢方薬が普及したことがあっただろうか。
国民一人当たりの漢方薬の使用量が、かつてないほど増えただけでなく、現在使われている漢方薬の品質も大変すぐれたものになっている。
その影響で、日本の医療は以前に比べて、はるかに漢方的な「本音の医療」に近づいてきたように見える。
ちなみに、漢方薬を介した漢方治療では、漢方薬を処方する治療者側と、その治療を受ける側とのあいだに、緊密なコミュニケーションと強い信頼関係が必要となる。
これは近年、西洋医学でしきりにいわれはじめている「インフォームドーコンセント」(医師が患者に治療方法などをよく説明し、患者の了解を得ること)に相当するものといえる。
漢方治療の場合は、医師が患者に説明するだけでなく、日常生活での「養生」などを通して、患者にも積極的に参加してもらうことを求めている。
つまり、治療や予防に際して漢方では患者にも医師と同等の責任を求めるわけで、その点では、西洋医学の「インフォームドーコンセント」より一歩進んだ考え方といっても過言ではない。