雑誌インタビュー・執筆情報
ClinicWatch 2004.9月号
![]() | 会津若松市のえんどうクリニックでは、2001年に「院内医療事故防止対策マニュアル」を作成、以後、定期的な見直しを行っています。 同院では、医療事故問題が大きく取り上げられるようになったことをきっかけに、診療所でも事故防止の具体策が必要だと考え、スタッフ全員が意見を出し合ってマニュアル作成にとりかかりました。 「病院で起こることは診療所でも起こる」と語る遠藤剛院長に、診療所で取り組む医療安全対策のポイントをうかがいました。 医療事故は、看護師はもちろん、事務スタッフも含めた全員(入院施設では厨房も含め)で取り組まなければ防止できません。 当院では、マニュアルを作成するとき、スタッフにこれまで起こったミスや改善案をまとめてくるよう指示を出すなど、全員が参加してリスクマネジメントに取り組む体制を作ってきました。 また、スタッフを院外の勉強会にも参加させています。 そうすることで、それまで気付かなかったりスクに気付き、それを当院のマニュアルに追加することができるわけです。 |
マニュアルを作成した9項目
?輸液事故(指示受けミス、投与ミス等)?麻酔事故(ショック、患者誤認等)
?注射事故(指示受けミス、準備ミス等)
?検査事故(患者誤認、器具のトラプル等)
?院内感染(術後創感染、二次感染等)
?与薬事故(処方ミス、製剤ミス等)
?患者誤認(点滴ミス、採血ミス等)
?転倒・転落事故(ベッド、廊下等)
?放射線事故(患者誤認、撮影ミス等)
えんどうクリニックが最初にマニュアルを作成してから3年が経ちますが、定期的に見直しを行い、現在は9項目の「起こり得る事故」についてマニュアルを作成しています。
形式は、誰もが使いやすいように、わかりやすく簡潔な表にまとめています。
与薬事故
トラプル 事故防止対策
カルテの確認同姓同名に注意する
禁忌薬剤の有無(アレルギー、ピリン薬等)
病名と処方内容のチェック
1.処方ミス
前回処方と相違ないか投与量、投与方法の確認
他の医院よりの内服薬のチェック
過剰投与、拮抗、相互作用→表にして
皆の目に付くところに貼っておく
(ワーファリン、小児用バファリン等)
薬剤と処方せんの確認
2.製剤ミス 名称外観の類似に注意
副作用の把握薬効の把握
与薬準備を正確に
与薬トレイの氏名と薬袋の氏名確認
与薬量、オーダー変更の確認
3.誤配薬 ,与薬患者の確認
誤飲の注意(OP後、臥位服用時)服用後の身体異常の訴えに注意する
(発疹、気分不快等)
当院では、インシデント・レポートも作成していますが、ミスを報告するのは勇気がいるものです。
ですから、私はスタッフがミスを報告しだら「よく報告してきた」と誉めるようにし、誰かがミスをしても全員が「明日はわが身」と考えて、みんなで改善していく雰囲気作りを大切にしています。当然のことですが、私が犯しだインシテントについてもスタッフに報告しています。
決して犯人探しはしない
リスクマネジメントヘの取り組みはスタッフ教育にも繋がる
当院は院外処方ですが、薬局とも常に話し合い、院内のカンファレンスには、処方せん応需先の薬局の薬剤師にも参加してもらっています。
また、薬剤師には、患者さんと話をしていて不審に思うことがあれば、すぐに連絡するようにいつもお願いしています。
そうすれば、処方に関して何かあっても、患者さんが帰宅する前にもう一度説明するなどして問題を解決することができます。
リスクマネジメントには医薬連携も忘れてはいけません。
診療所は病院に比べるとスタッフも少なく、一見リスクマネジメントに取り組んでもしょうがないと思えるかもしれません。
しかし、一人のスタッフでも重大なミスを犯せば患者さんの命にかかわることもあるわけで、そう考えると、スタッフの人数、有床、無床は関係ないと思います。
ですから、診療所の先生には、まず、あるかどうかねからなくても自院のインシテントを集めてほしい。
とりあえずやってみてください。初めて気が付くことが必ずあるはずです。
そして、リスクマネジメントを始めだら、毎日スタッフと話し合うことが何より大切です。
いかにスタッフに自分の考えを浸透させるかが成功のポイントです。




