福島県会津若松市一箕町亀賀藤原417-3
TEL0242-33-0700
平日 午前8:30〜午前12:30まで
午後2:00〜午後6:00まで
水曜 午前8:30〜午前12:30まで
午後 休診
土曜 午前8:30〜午前12:30まで
午後2:00〜午後5:00まで
休診日 水曜日午後・日曜・祝祭日
患者の声を反映させた明るく開放的な談話室には、書棚が設置され、いつでもお茶が飲めるよう常時ポットも置かれている
患者への情報公開をコンセプトに、遠藤医師の 専門分野を分かりやすく説明したポスターをはじめ、地元の新聞・雑誌に投稿した原稿のコピー などを待合室の壁面に張り出している
外来・入院患者からの意見に聴く耳を持つことか患者サービスの基本、と語る遠藤医師。
アンケート結果を踏まえて実施されるようになったサービスは、プリント配布して患者に公開する
手術を受けて退院して行く患者全員に贈られる 色紙には、職員全員の寄せ書きが添えられる。 職員と患者との人間関係を深める開院以来の恒例イベント
趣味の川柳と新聞投稿は父上から受け継いたもの。
とくに ユーモアとウィットに満ちた川柳の精神は開業医として忘れてはいけない「医のこころ」にも通じるという
(クリニックマガジン1999年9月号より)
雑誌インタビュー・執筆情報
「FINE」 Vol.11 Nov.1999

かかりつけ医師として信頼され選ばれるために

21世紀を迎える日本の医療界では、医療の質を重視する成熟経済型社会に向けて、患者サービスをはじめとするさまざまな課題に対しての模索が行わている。

診療所においても、医療技術の評価とともに患者サービスの質の高さが大きく間われる時代となっており、さらに今後はサービスの内容が かかりつけ医師として患者から信頼され選ばれるための重要なポイントとなる可能性も高い。

診療所に求められる患者サービスとは何か、今回は福島県会津若松市の医療法人健心会えんどうクリニックの取り組みをケーススタディとして考えてみたい。

専門性とプライマリケアの両立

痔は、腰痛・水虫と並んで3大国民病のひとつと言われるほどのポピュラーな疾患である。

にもかかわらず、欧米に比べて日本では、痔をはじめとする肛門疾患を恥ずかしい病気、人に知られたくない、隠したいとする独特の感覚が働いてしまうため専門医を訪れず「痔だと思っていたら、実は直腸癌たった」というケースも少なくない。
一方で外科・肛門科を標榜している医療機関も全国的にみて非常に少ないというのが現状だ。

平成5年開院の医療法人健心会えんどうクリニックは、外科・肛門科に加え内科・胃腸科も専門に掲げて地域医療に取り組んでいる診療所。
同クリニックのある福島県会津地方の医療圈は郡部も含めると約32万人だが、外科・肛門科をカバーする医療機関と しては開業医3軒、病院1軒が存在するに過ぎない。

潜在的二ーズと外科・肛門科という数少ない専門性、さらに内科も診るプライマリケアヘの姿勢が加味され、開院5年目を迎えた現在では、年間来院新患患者数約3,000人、1日平均来院患者数は100〜120人に上る。
遠藤剛医師によれば、「日本人特有の"恥の感覚"のひとつとして、腰痛や水虫なら大きな声で言えるけれども、痔に関してはどうしても恥ずかしさが先立ってしまうんですね。

恥ずかしがる患者さんには『痔は二本脚歩行をする人なら誰でも罹る病気なんですよ』と説明すると安心してくれますね。

女性の場合は出産や 便秘などで力んだり、男性は飲酒や力仕事などが原因となって痔になるケースが多いのですが、専門医に診てもらうのが恥ずかしく市販薬で急場をしのいでいるうちに癌を発症してしまう患者さんが少なからずいます。
また、痔と大腸癌を合併している患者さんもいますので大腸の内視鏡検査を行うことにしています」という。

時代のテンポに合わせたデイサージェリー

同クリニックが力を入れている患者サービスのひとつに、デイサージェリー(日帰り手術)がある。
痔の患者さんの8割は坐薬・軟膏・温泉治療といった保存的治療で治るが、1割〜2割の患者さんにはどうしても手術が必要となる。

デイサージェリーは、そのうちの約25%を占める軽度〜中程度の患者に適用している。
「メリットのひとつは経済効率。入院しないで済みますから費用も入院の1/3しかかかりません。
もうひとつは時間の有効活用でしよう。今まで痔の手術を受けた場合、平均10日から2週間の入院が必要たったところが、わずか1日だけ。
万事にスピーディーな現代では、午前中に来院して昼に手術して夕方には帰宅できるデイサージェリーの利点は大きいですね」と遠藤医師。

多忙な農業従事者の多い地域性にもフィットした患者サービスとして、デイサージェリーは住民からの支持も厚い。
こうした患者さんからの意見、提言、苦言を真摯に受け止めるアンケートの実施も、同クリニックの患者サービスの特徴だ。

アンケート結果は、毎朝8時から行われる朝礼と職員勉強会で検討され、改善点を決めていく。
決定事項は『患者さんの声Q&A』として患者に配布するかたわら、清潔感・受付の対応・言葉遣いなどのホスピタリティーに関する研鑽にも熱心に取り組んでいる。

「聴診器 心の音も 聴いてやり」

外科・肛門科とともに内科・胃腸科も標榜する同クリニックはプライマリケアに対しても力を注いでいる。

「まずは、どんな患者さんでも診るということが開業医の使命ですからね。その結果、自分の守備範囲を超えたケースに関しては、紹介状を書き責任をもって専門医に送ります。
病診連携、診診 連携合わせて年間780〜800件の紹介状を書きます。
でも『良い先生を紹介してくれてありがとう』と言って、患者さんは必ず戻って来てくれます。
これはほんとうに開業医冥利に尽きますね」と遠藤医師は微笑む。

外科・肛門科医であった父上の仕事を継承した遠藤医師の趣味は、やはり達人として知られた父上・余詩朗氏ゆずりの川柳。

「聴診器 心の音も聴いてやり」は遠藤医師の処女句である。

「私の考える患者さんサービスというのはよく話を聞いてあげるに尽きます。
1人につきただ時間をかけるのではなく、その患者さんが何を求めて私のところに来たのかを瞬時にキャッチするのです。
初診には時間を割いて会話の中から患者さんの特性をつかめば、次回からの診療はスムーズに運びます。

そのあたりのメリハリが開業医に必要な能力だと思います。
その際に大切なのは、専門用語ではなく個々の患者さんに分かるように話すこと、話し終わったら理解したかどうかの問いかけをすること。

それがベースにあってこそ、医師、看護婦、事務、厨房が三位一体となったホスピタリティーが患者さんに提供できるのではないでしょうか」