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気になる症例集

フールニエ症候群

ばかにできない肛門周囲膿瘍

 44歳、男性。2、3日前より肛門痛があり、市販の座薬を使用していたが、痛みがおさまらず、そのうちに発熱(38℃)、食欲低下が見られるようになり、仙骨部から肛門、陰嚢、右大腿に及ぶ発赤を認め、握雪音を伴い来院。
単純X線写真にてガス像を認めた。正にこれがフールニエ症候群である。

フールニエ症候群とは

 直腸肛門系および尿道系を原発部位とし陰嚢、腹壁、大腿へと急速に広がる重篤な軟部組織や皮膚、筋肉、腹筋の細菌感染症はFournier症候群と呼ばれ、外科領域で遭遇する重症皮膚軟部組織感染症である。
抗生物質の発達した近年では比較的まれな疾患であるが、早期に診断し適切な処置を行わないと、死に至ることも希ではない。

 これからの高齢化社会ではForurnier's gangreneの発症する可能性は高くなることが予想される。
さらに本症は健康者にも発症する可能性があり、一端発症すれば致命的にもなりかねない。

 フールニエ症候群は男性外性器の壊疸をともなう壊疸性筋膜炎として1883年にFournierが報告しており、その特徴として若い健康な男性に急速に進行する壊疸性病変で、明らかな病因が見いだせないことが多いことを強調している。
その原疾患についてJonesらは1945年以後の119報告例のレビューから肛門・後腹膜疾患、尿路疾患、外傷、肛門手術後などをあげ、原疾患不明の症例も多いと述べている。
背景に糖尿病がみられることが多く、このほか肝障害、動脈硬化、悪性死腫瘍、腎不全を有することがあるが、これらは血行障害を生じることによって組織に本症が発生しやすい環境を作り出していると考えられている。

 起因菌はE.coliと嫌気性菌のBacteroides fragilisが多い。
Fournier's gangrene を疑うのは第一に切開排膿しても予測するような排膿がみられない場合である。
そして切開して現れる分泌物も通常の膿ではなく、どぶ川の臭いと例えられるような悪臭で褐色、漿液性の分泌物である。

 肛囲・外陰部に初発した湯合に炎症が広がる経路については、鼠径管・腹直筋鞘を通って腹壁へ進む経路、会陰部から大腿へ進む経路などが考えられているが、いずれも骨盤内筋膜など筋膜下が主要な経路となっている。

診断と治療

 本症の診断には皮下捻髪音など理学的所見のほか皮下気腫(軟部組織内に発生したガス像)のX線所見が重要であるが、最近の報告例ではCT検査が有用なのは明らかである。
炎症の拡大から重症化に至るまでの数日の問に、あるいは1回目手術後の発熱時などにCT検査を施行して診断に努める一方で、重篤な予後を念頭において手術を考慮することが望ましい。

 治療に関しては、皮下を壊死がundermineして広がるため、必要なときは1日に数回の先回りしての切開排膿と壊死部のdebride-mentが必要となる。
人工肛門の造設は下腹部や会陰部の汚染の著しいとき、および肛門疾患が原因の時に選択されている。
 また糖尿病や基確疾患を有する場合は重篤な経過をとる例が多く、その場合の死亡率は70%近くとされている。
この疾患は肛門科のみならず、泌尿器科また皮膚科においても見られることがままあり、同病を疑ったら、個人開業医レベルでは手を出さず直ちに総合病院に救急搬送すべきである。

病院側も緊急手術とショック対策も含めた全身管理が必要であると考える。